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『LM3886チャイナアンプ vs JBL K2』 パワーアンプ編(アーカイブ)

『LM3886チャイナアンプ vs JBL K2』 パワーアンプ編

さてさて、LM3886搭載のチャイナアンプ「YS1」試聴記の第2弾は、「パワーアンプ編」である。

小生としては、前回記事のYS1デフォルト使用、つまりプリメインアンプとしての再現性よりも、むしろ、パワーアンプとして拙宅プリアンプ軍団とのカップリングした場合の“音”に大いに興味があった。

まぁ、実際、YS1の構成自体もRCA入力1系統+ボリュームという、パワーアンプと言っても過言では無いシンプルな構成なので、その素性が大いに期待できるところである。

さて、プリメインアンプとしての試聴において、YS1の弱点がいくつか判明した。その弱点を、より際立たせるため、少々オーバー目に、辛辣に書き記してみよう。

  ①エネルギーバランスが下よりで中域のエナジー感に乏しく、
   楽曲によっては中域の音像が奥に引っ込みやすい。

  ②高域の情報量が控え目のため、弦楽等は倍音成分が抑えられ、
   響きが足りないように感じることもある。

  ③「①」と関連するが、中高域の情報量に限界があるため、
   音場の奥行き感、広がりが希薄である。

  ④シンプルで飾り気のない音色のため、
   エネルギッシュなジャズの演奏では少々醒めた印象が無きにしも非ず。

以上、4点が、YS1のプリメインアンプ使用で感じたことだ。この弱点、YS1がトータルで内包する音色の癖なのか、それともYS1のボリュームクオリティに起因するものなのか、パワーアンプとして使用することで解明していこうと思う。

試聴にに際しては、YS1のボリュームは最大のポジョンに固定、組み合わせる各プリアンプのボリュームで音量を整える。なお、スピーカーケーブルはドイツ・YARBO社のGY−3000Aから、前回記事で取り上げたネオテックNS−1952に変更した。

試聴機器はプリメインアンプ試聴同様、マークレビンソンNo.31L(トランスポート) ⇒ ゴールドムンドMIMESIS10(DAC) ⇒ 各プリアンプ ⇒ YS1 というコネクトにした。DACはマークレビンソンNo.30.6L、プレーヤーはSACDプレーヤー、ソニーSCD−1も随時聴くことにする。

試聴ソフトは、プリメインアンプ試聴記でチョイスした8枚のディスクを使用。特にさまざまな音のバランスの指標が内在している藤田恵美のヴォーカルと、苦手感のあったヒラリー・ハーンのヴァイオリンを集中的に聴いてみた。また、随時、他のディスクも聴いている。

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まず、①の中域のエナジー感を補正するため、拙宅プリアンプ群ではピカイチのエネルギッシュ濃厚プリアンプ、マークレビンソンNo.26BALをあてがってみた。レビンソンらしからぬマッシヴな音色のためか、今でもジャズ好きのオデオファイルには根強い人気のプリアンプである。

これは、なんと言おうか、笑ってしまうくらいの激変ぶりだ。

①で述べたネガティブな部分が雲散霧消し、前回、もう少し前へ出てきてくれないものかと不満に思った藤田恵美が、理想的な立ち位置で生々しく歌い出した。ヴォーカルに付帯するホールトーンもより艶やかだ。このエナジーバランスは、日頃、拙宅のリファレンスパワーアンプで聴いているバランスとほぼ同等である。

ハンク・ジョーンズのピアノのタッチは、これが晩年とは思えぬ力強さで響きわたる。演奏の熱さがダイレクトに伝わってくる再現性はNo.26BALの最大の魅力であり、その良さをYS1は見事に引き出している。

やはり、想像したとおり、YS1のボリュームの質が相当、YS1の音色に影響を与えていたのだろう。 逆に言えば、プリの素質をそのまま引き出すことが出来たのは、YS1のシンプルで飾り気の無い音色が幸いしているように思える。

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次に②の高域情報量を補うため、ワイドレンジ感と高域情報量では拙宅随一のプリアンプ、マークレビンソンNo.38SLを組み合わせてみた。38SLが誇る解像度の高さは、拙宅メインプリのML−10Aですら遠く及ばない。

38SLは中〜高域の音数はずば抜けて多く、その解像度の高さを物語っているが、中高域に比して低域が僅かながら軽くなる傾向がある。この部分が解消されれば、本当に文句のつけようがない魅力的なプリアンプである。

ヒラリー・ハーンでは、前回感じた響きが少なく潤い不足のヴァイオリンとは全く異なる音を聴かせる。これには、小生も少々驚いた! 実に瑞々しく、かつエネルギッシュなハーンのヴァイオリンを聴くことができた。若干ビブラートを抑えた演奏もマットになることなく、リアリティ豊かに鳴らしまくる。

肉厚気味のYS1の低域感が、38SL独自のスレンダーな低音の質感とマッチして、豊かなボリュームながら、決してもたつくことの無い、明瞭度の高い低域を聴かせてくれる。

藤田恵美でのウッドベースの深い沈み方、その質感、じつに満足のいく音色だ。ヴォーカルのビブラートは実に木目が細かく繊細、YS1単独時では決して聴けぬ美しさであった。

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③の音場感の是正には、奥行きの深い音場感が特徴のアキュフェーズDC−300を組み合わせてみる。
DC−300は、幾重にも重ねたミルフィールの如き音楽情報が練りこまれた音場の奥行き感が最大の特徴で、その音場の懐の深さでは同社アナログプリアンプの280シリーズや290シリーズにはない魅力を秘めている。

DC−300はデジタルプリなので、CDトランスポートのエソテリックP−70からのデジタル出力(AES/EBU)をDC−300のAES/EBU入力オプションボードにコネクトしての試聴である。

DC−300は、他の拙宅プリと比較してSN比の高さで群をぬいており、ノイズ感のない“静かな音場”を再現させたら右に出るものはない。そのため、同じくSN感の良いYS1との相性も良く、K2から、まるでプレーナー型スピーカーを彷彿とさせるような、ホログラフィックな音場・音像を聴くことができる。

藤田恵美では、ホールトーンが極彩色のグラデーションとなって上下・前後・左右に広がっていく。ヴォーカルがホールに減衰して消えていく、その間際の美しさといったら筆舌に尽しがたいものがある。

ティーレマンのブルックナーでは、その大きさがわかるような広大な三次元的ホールトーンを実感させてくれる。実に奥の深いところまで音場が展開するサウンドステージは、YS1単独使用時とは全く別物である。クラシックの、特にホールトーンをふんだんに収めたディスク再生には最適の組み合わせと言えよう。

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④で不足感を感じた、音の躍動感、生き生きとしたリアリティ、爆発するエネルギーの脈動を再現させたら拙宅プリアンプ軍団の中では向かうところ敵無しのプリアンプ、マークレビンソンML−10Aの登場だ。

ここでは、DACをマークレビンソンNo.30.6Lで聴いている。つまり、トランスポート・DAC・プリアンプの3機種がレビンソン軍団、パワーのみYS1というアンバランスの極みのような組み合わせである(笑)

これは、もう、問答無用の“凄音”である。

これまで聴いたプリの中では最高の音を聴かせた。中域の厚み、ぶっとい音像はNo.26BALと近似した音色だが、更に独特の濃密なトロミを感じさせる音だ。そのトロミが音像に有機的な生々しさをもたらしてくれる。あの、そっけない淡白なYS1がパワーとは考えられないほどの色艶で小生を魅了する。

音艶の深み、音表現の凄みは、拙宅パワーのリファレンス、アキュフェーズM−1000やソニーTA−NR1には及ばないものの、それでも、とても1万数千円のアンプが奏でる音とは思えぬ艶かしい音を聴くことができた。

藤田恵美は、ほぼ満点。ヴォーカルの質感、付帯するエコーの深み、生っぽさ、どれをとっても合格点をつけられる音色だ。アコースティックギターの咽び泣く弦の囀りもパーフェクトに再生する。お見事である。ハーンのヴァイオリンは若干骨太になるが、一本芯の通ったヴァイオリンは響きに過不足無くダイナミズム豊かに聴き手を魅了する。

ML−10Aをデフォルトとして、古いジャズも聴いてみた。

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「ワルツ・フォー・デビー/ビル・エヴァンス」「サキソフォン・コロッサス/ソニー・ロリンズ」「アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション/アート・ペッパー」のモダンジャズ名盤3枚。

いずれも以前、限定で発売された「紙ジャケ仕様/xrcd盤」である。この3枚、これまでに数多くのリマスター盤がリリースされており、拙宅でも相当数の同じディスクを所有しているが、各々音の生々しさではこのxrcd盤が白眉の出来である。

エヴァンスの3/4拍子〜ワルツのタッチが実に美しくリリカルに響き、素晴らしいインタープレイを際立たせる。ヴィレッジ・ヴァンガードの暗騒音を空気感をリアルに再現する。例の“地下鉄の音”もドスのきいたゴロゴロ音で聴くことができる(笑) ロリンズのブリッとした豪快で図太いテナーがK2のバイラジアルホーンより迸る。 アート・ペッパーは不世出の録音技師ロイ・デュナンらしいクリアでヌケの良い音で、緊張感溢れるラッパが見事に甦る。

ML−10A+YS1はモダンジャズの熱気溢れるサウンドを、ダイナミックにK2から聴かせてくれた。YS1の生来のノイズレスなサウンドのためか、SNが心配な50〜60年代の旧盤もノイズ感を意識することなく、リアルな個々の音像だけを浮き彫りして聴かせてくれる。

ここまで聴いて、改めて実感したのは、オデオシステムにおけるプリアンプの重要性だ。プリアンプは、オデオシステム全体をコントロールし、その音の支配下に置くという、システムの大勢を決する要のオデオ機器といえる。 

スピーカーもプレーヤーもパワーアンプも、プリアンプ(コントロールアンプ)次第で、如何様にも表情を変えることができる。 人間で言えば“脳”の役割を“プリアンプ”で担っているといえよう。このことは、これまで拙ブログで何度も申し上げていることだ。

今回のYS1試聴によって、改めて、その認識に間違いがないことを確信した。ただし、ここではプリアンプの重要性よりも、むしろ、各々のプリアンプの特質を余すところ無く引き出し、聴かせることのできたYS1の潜在能力の高さとハイコストパフォーマンス振りに拍手を送るべきだろう。

兎に角、気合を入れてYS1を愛用するならば、優秀なプリアンプとのカップリングが絶必である。
パワーアンプとして使用してこそ、YS1の癖の無い、無色透明でフラットな音色も活きるというものだ。

また、例えば新規にシステムアップする場合、絶対に欲しいスピーカー、しかしコイツを買うと、もう予算がほとんどなくアンプにまで回らない・・・・そんな御仁が、お目当てのアンプを手に入れるまで十分に活躍してくれるアンプとして、小生はこの「YS1」を推したい。 K2に対する駆動力から察するに、古今東西のスピーカーを“それなり”に鳴らしてしまう潜在能力の高さを感じさせるからだ。

YS1試聴は、チャイナアンプの実力の高さを認識すると同時に、LM3886の可能性を実感することが出来た。

今回、YS1を聴く機会を与えていただいた「兵庫の耳悪オヤジ」さんには感謝感激、雨霰である(笑)
これまでのYS1一連の記事をもって、小生のオヤジ殿への感謝の言葉にかえさせてたただきたい。

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